東京高等裁判所 平成元年(行ケ)64号 判決
一 特許庁における手続の経緯、本件商標及び引用A、B商標の構成、指定商品及び商標登録出願から設定登録までの経緯、各更新登録日並びに本件審決の理由の要点が原告主張のとおりであることは、当事者間に争いのないところである。
二 そこで、本件商標と引用A、B商標との類否について判断する。
1 まず、当事者間に争いのない別紙(一)の本件商標の構成及び同(二)(三)の引用A、B商標の構成態様を対比すれば、外観上区別し得るものであり、かつ相互に類似した観念をいだかせるものでないことは明らかである。
2 前記認定に係る本件商標及び引用A、B商標の構成態様に徴して、本件商標からは、「ロンサン」の称呼が、引用A、B商標からは、「ロンシヤン」の称呼が生ずると認められるところ、いずれも四音という短い構成よりなり、第三音である「サ」と「シヤ」とは本件審決が指摘するように音質が異なり、音構成上も比較的明確に発音されるものであるから、「サ」と「シヤ」の差異がそれぞれの称呼全体に及ぼす影響は少なくないものとみるのが相当であり、本件商標における「サ」の音は、引用A、B商標における「シヤ」の音とは異なつた音感をもつて発音され、また聴取されるものといい得る。その結果、本件商標である「ロンサン」は引用A、B商標である「ロンシヤン」とは全体の語感、語調においてかなりの程度異なつたものとして称呼され、聴取されるというべきである。
したがつて、本件商標と引用A、B商標とは称呼上も相紛れるおそれはないものとみるのが相当であるとした本件審決の判断に誤りはなく、この点の誤りを取消事由とする原告の主張は理由がない。
3 右のとおりであるから、本件商標と引用A、B商標とはその外観、称呼及び観念のいずれからみても相紛れることのない非類似の商標であるとした本件審決の判断は正当であつて、本件審決には原告主張のような違法の点はない。
三 よつて、本件審決の違法を理由にその取消しを求める原告の本訴請求は失当としてこれを棄却する。
〔編注1〕本件に関する請求原因は左のとおりである。
一 特許庁における手続の経緯
被告は、別紙(一)表示のとおりの「ロンサン」の片仮名文字と「RONSAN」及び「LONSAN」の欧文字を三段に横書きしてなり、第一七類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品とする登録第一二四二〇八四号商標(昭和四七年七月二六日登録出願、昭和五一年一二月一六日設定登録、昭和六一年一一月一三日更新登録。以下「本件商標」という。)の商標権者であるが、原告は、昭和五六年一二月九日、被告を被請求人として本件商標の登録無効の審判を請求した。特許庁は、右請求を同庁昭和五六年審判第二四七四六号事件として審理した結果、昭和六三年一二月二七日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決(以下「本件審決」という。)をし、その謄本は平成元年二月二三日原告に送達された。
〔編注2〕本件における別紙は左のとおりである。
別紙
<省略>